OBインタビュー
木村伸(照明)

今日はよろしくお願い致します。
早速ですが、照明部になったきっかけはどのようなものだったのでしょうか。
木村:卒業してふたつ選択があって。まずひとつが高校の時にバイトしていた大工さん。親戚の大工さんで、そのまま就職しちゃおうかと思っていたんだけど、あるとき、「フジテレビで照明をやるか?」って耳にして…というのも、近所にフジテレビの人がいて、その知り合いが照明をやってたのね。その人から「ちょっとやってみる気ある?」って。大工さんか、やったことのない照明かって2択があったんですよ。でも、大工さんの親方がいい年して結婚してなかったのね。俺も将来こうなっちゃうのかなって(笑) 人によると思いますけど、たまたまそうだったんですね(笑) 木村:うん。華のある舞台のほうに進もうかなと思って、照明に決めて。その当時、履歴書があって運転免許があって、お酒が飲めれば入れちゃうという会社だったんですよ。運転免許もあったし、お酒も飲めたし…それで合格 (笑) そこから作品をやっていくわけですよね。 木村:まずは夜のヒットスタジオ!歌番組スタートだったんだよ。加賀まりこさんっているでしょ。歌番組だけど「私にライトちょうだい」って人だったのね。それで俺、生放送中にライト持ちをずっとやっていたの。結構それで有名になったのよ。バラエティで山田邦子さんが、加賀さんの真似をしてライトマンが連なってるっていうネタにもなったの(笑) とんねるずの「ねるとん紅クジラ団」とかもやったなあ。バラエティが多かったね。 バラエティから、ドラマをやっていくようになったんですね。 木村:フジテレビの新春ドラマで、「春を待つ家」っていうドラマが一番最初かな。ヒットスタジオをやっていて途中で「ドラマやってみる?」って話になって。 バラエティと全然違う現場ですよね。 木村:全然違う現場だね。一番下だったから、右も左もわからずに行ったなあ。そこから作品を重ねていって、一番最初に頭に立ってやったドラマは北海道のドラマの中で東京ロケがあって…その一部をやった記憶がある。北海道には行けなかったんだけど。オンエアも見てないなあ(笑) 頭になるのには、10年以上かかったかな。 照明部は特に技師として一番上でやるまでに時間がかかりそうですね。 木村:今は携帯が有ってみんな撮れる時代、照明をやって下さいと言われても分からないと思う。勉強すれば教科書に沿って照明をつくるってことは誰でもできると思うんだけど、現場で応用編になってくると右も左もわからないと思う。特にドラマは難しいかな。 スタジオだったらスタジオとして組むってイメージですけど、ドラマや映画で人物がたくさんいて動き回ったら、もうわけわからないですね。 木村:そうでしょ。とりあえず明るくするっていっても、ポンポンあてればいいってわけじゃない。雰囲気を出してあてるとなると、ライトの位置もよく考えないといけないし。 天気や日の時間がつながらなきゃならないとか、本当に照明はいろいろ考えないといけないですよね。現場で習得していくものですか? 木村:そうだね。現場だよね。先輩のものを見て盗んで育っていく、そして自分のものにしていく、他の作品を見て・・・映画とかドラマとか見ても内容が入ってこないんだよね。どうやって当てているのか観入ってしまいます。 やっぱり、映画を観た時にどうあててるかってわかるんですか? 木村: 大体分かります。例えば目にはいっているライト。目の中に映り込むライトで3つ映り込んでいたら面から3灯当たってる事になります。頭の輪郭が出てる時は後ろから当たっているとか、首の影、鼻の影とかどう当たっているのか、そういう見方をしているので内容が全然入ってこないですね。 えー!ずっとその見方をしていくってことですか?ワンカットワンカット 木村:そう。そうだよ(笑)2回見てやっと内容がわかる。職業病だね。 スターウォーズとかそういうSF大作でもそうなんですか。 木村:昔のスターウォーズと今のスターウォーズはライティング全然違うと思います。昔のライティングは点光源が主流でした。点光源とは携帯電話のライトみたいな光源が小さいもの今は面光源のライティングが多いです。面光源は面積が広くフラットに当てる光源ライトの事昔は面光源でライティングする事が少なく点光源の為、影がシャープでした。最近は面光源の為、影が柔らかく表現できるライティングになっているのでその違いは大きいですね。