OBインタビュー
木村伸(照明)

ライト自体の物の違いということですね。 木村:たまに点光源で当てることもあります。インパクトを強くしたい時とか 難しいですね。勉強しないとな。照明をいろいろな角度で人物にあてることでまったく顔が違うってこともありますもんね。女優さんを輝かせることも… 木村:女優は綺麗に美しくライティングしてます。先日、会社でズーム面接した時にリングライトを使用している女の子がいましてすぐ分かりました。 自分にもちゃんとライティングしていたら、面接のポイントあがりますね(笑)照明部は人材は少なくなっていますか? 木村:うーん、女性が増えましたね。面接来るのは女性ばかりです。照明機材は重いですけど、実は慣れで重い機材も持てるようになるんです。映画『サマータイムマシンブルース』の時に女性の照明の方がついていて最初持てなかったライトが最後には持てるようになって普通に運んでました。 照明部として映画づくりで一番嬉しい瞬間ってどういう時なんですか? 木村:自然に恵まれたときかな。こないだやったロケ現場が太陽に恵まれていて!アプリで太陽はどこか確認して、ロケハンのときに「この時間でやろうよ」って話をしていたんだけど、テストの時に雲が結構あって。でも、本番で晴れるわけですよ。俺、もってるな~って。そういう時は本当に嬉しいです。 いちばん天候と戦わなきゃいけない仕事ですよね。 木村:そうそうそう。その日は林の中でドローンをやっていて、照明もいくところないから、スモーク担当をしており、林の中で太陽の光が差すなかでスモークを焚いてっていう描写だと、風に恵まれなくちゃいけないわけですよ。最高の風が吹いて、最高の画が撮れて・・・その日は本当に恵まれていた。 そういう奇跡的な画が撮れると嬉しいですよね。
現実を超えるライティングをするときもありますよね。本当はそうではないけれど、美しいライティング、そういうのも難しそう。
木村:難しいよね。ひとりひとり感性があって、みんな違うし、自分はいいと思っても不安はあります。自分がこうやりたいと思っても監督が違うんだったら監督が第一だから、監督のイメージに近づけるように努力する。そこで頑固になってもしょうがないなっていうのはあるよね。例えば赤か青か、違かったら全く違うから、監督にどんなイメージか前もって聞くのは大事だよね。「赤くしたほうがいいかな」っていったら、それにちょっと味付けをするとかね。そうやっていかないと仕事は進んでいかないよね。 これからこんなライティングがしたいというのはありますか? 木村:でかいライトを使ったりしたいよね。大きいライトで太陽を作ったりとか。相当な大作じゃないとできないけど、1回でいいからそういうのをやってみたいよね。『SAYURI』っていう映画は、東京ドーム4つ分くらいの街を作って、それを全部ビニールで天井を作って曇らせてました。僕の師匠も映画『曇天で笑う』でオープニングとエンディング以外全部曇らせてました。 若手映画制作者の方や学生の自主映画って照明にお金がかけられなかったりする人も多いですよね。どういう知識があるといいですか? 木村:下見行ったときのロケ場所で、ロケセットの時窓外にライトを立てれるか?ベランダが有るのか無いのか。ライトが立てれれば陰影のある絵が生まれます。自然光のみでも良い絵は有りますが、ライトでの味付けは大事だと思います。窓の位置も大事で東西南北どこからどの位の自然光、フレアが入って来るのか考えて下見をして欲しいです。 芝居の作り方も影響ありますよね。 木村:そうだね。お芝居の段取りをしたあとに照明が仕込むと時間かかってしょうがないから、そういうときはどこに仕込むかロケハンのときに監督やカメラマンとコミュニケーションをとっておくかな。 時間をかければいい照明がつくれるってものなんですかね? 木村:うーん、これ以上直すと時間がかかるとか…これ直したら30分以上かかるとか、自分は最初から仕込んでおくとか、色んなバランスがあります。例えば教室の上の蛍光灯を点けるか点けないかで全然変わってきます。点けると直しが少なくスムーズに仕事は流れますが、消して外光フレアでライティングすると直しも多くなりますが、陰影が出来て雰囲気のあるシーンになりますね。 カメラマンや組のやり方次第な部分もあるんですね。 木村:『愛を乞うひと』というドラマをやったとき、照明の賞を取った時作品で 台湾ロケは照明部2名と言われてましたが 撮影監督が『全員連れ行かないとダメだ!』と言ってくれた時にカメラマンの寛大さを感じました。 海外の作品を見ていてその国ごとにイメージがありますよね。
台湾とか韓国とか、フランスとか・・・それは照明や美術なんですかね。
木村:確かに。韓国映画はカラーリングが青の出方とか似ていたりしますね。フランスとかは優しい感じで、アメリカは、色も激しかったり、ちょうどバランスの取れた作品だと思います。『2046』っていう映画が照明で好きな映画です。あの色味は最高です。キムタクが出てた作品で、あれの色味が最高なのよね。ウォン・カーウァイの、色の使い方と影の使い方が良いです。 色の使い方はやっぱりさっき言ってたセンスであって、作品の意図とかも考えると難しいですよね。 木村:色は難しいんだよな〜、色の選択。家の中に飛び込んでくるネオン灯りとか…あの色悩むんだよ。 奥が深い照明の世界の話を聞けて嬉しかったです… 貴重な時間をありがとうございました!

【プロフィール】木村伸株式会社フジメディアテクノロジー 営業部 新潟県生まれて1年後、東京都在住 株式会社彩光入社、株式会社フジライティングアンドテクノロジー入社、株式会社フジメディアテクノロジー入社し現在に至る。

参加作品としてエンターテイメントは 古くにやっていたフジテレビ番組 『夜のヒットスタジオ』『ねるとん紅鯨団』『HEY!HEY!HEY!』他フジテレビ番組はほぼ携わってます。ドラマ技師としては『Antique~西洋骨董洋菓子店』『恋人はスナイパー』『夫婦漫才』『ランチの女王』『SPエスピー警視庁警備部警護課第4係』『愛を乞うひと』『ハゲタカ』『チャンネルはそのまま』他

映画技師として『キャッチアウェイブ』『ピーナッツ』『曲がれスプーン』『星屑の町』『群青戦記』『ビューティフルドリーマー』