OBインタビュー
岸野由佳子(編集)

映画を見るときはどうですか? 岸野:最初は勉強しながら見ようと思うんだけど、映画を見てると普通に楽しく見てます。 職業病的に気になるところがでてきたりしないんですか? 岸野:あります。楽しいときはそのまま見るんだけど、変な編集だなと思うときはある・・・・「なんだこのカットバック」とか(笑)違和感を感じちゃうとひっかかって、物語に集中できないことはありますね。ここ無理やり切ったのかなとか思ったり(笑)編集するときも見ている人の邪魔になる編集というのは避けたいなと思いますね。編集を感じさせない編集ということがベースにあって…自然な編集が一番いいかというとそういうことでもなくて、違和感のあるシーンにしたいときは、違和感のある編集というひきだしを自分が持っていないとだめですけどね。 編集の世界は奥深い・・・ 岸野:沼ですよ。できるようになった気がしない。 映画を見てもこれが編集がうまいのかどうか、こっちからしたらなかなかわからないですね。 岸野:縁の下の力持ちですね。 女性は多いですか? 岸野:多いと思います。編集マンは女性も向いていると思います。体力的なハンデはあるかもしれないけれど、女性だからできないと感じたことはないです。結局は経験値。女子の胸キュン恋愛ものをおじさんがつないでいるということもあるし(笑)女性だけど、アクションとか・・・女性じゃないとつなげないとか男性じゃないとつなげないとかは一切なくて、想像さえできれば。 編集マンに向いているのはどういう人ですか? 岸野:粘り強い人。絶対妥協しない、適当にしないことは大事。最初に言ったように責任重大な仕事なので、素材を見落としていたらとかしてはいけないので。適当な仕事をする人はやったらだめだと思う。あとは、追い込まれることに耐性がある人、自分がこうだろうと思って編集したものに対して、全然違うとか言われることもあって、人間的な部分を否定されたように傷つくこともある。精神的にも体力的にもしんどいけど、作品をつくるのが楽しいという気持ちで粘り強く、妥協せずにやれる人じゃないと続けられないと思う。 確かに。色々な人の言い方に晒されますよね…
コミュニケーション能力も大事そうですね。
岸野:言葉って難しいよね。編集ってひとりで黙々とやる作業だから、しゃべれなくても成立すると思いがちなんだけど、実はその後、監督とのやりとりというところでスキルが必要になってくる。私も得意じゃないから、「自分がこういう気持ちでやった」ということを伝える言葉を選ぶことには苦労します。 作った映像自体で納得させられればいちばんいいですけどね。プレゼンテーション力も必要になることもある。最初はいらないと思ってたんですが、アシスタントのときに編集マンと監督がバチバチと高尚な議論をしているのを目の当たりにしたときに、なんて世界だって・・・ おもしろい仕事ですね。今後の目標は? 岸野:目標…今はたくさんやりたいです。まだ経験値が足りないと思うから、ドラマとか映画だけなく、PVとかも。いろいろなジャンルをやっていきたいなと思っています。今やっている編集自体が楽しいからすでに目標を達成いるのかも。楽しんでいる。やり続けることが目標かもしれない。 今、一緒に連ドラをやってる佐藤祐市さんという監督が、アシスタントの頃に「この監督すごい!」と思った監督なんですよ。「ストロベリーナイト」というドラマで、田口さんという編集マンに就いていた時に「編集ってすごいな」って…体感した作品でした。編集プレビューのやり取りの中で、監督も編集マンもこんな深いところまで考えているんだ…と。縁あってその監督と一緒にやれていることはひとつ目標達成ではあります。そういう経験を今後もしていきたいですね。 本日はありがとうございました!

【プロフィール】岸野由佳子 1986年、広島県出身。2010年に株式会社バスクに入社。アシスタントとして経験を積み、2013年に編集技師デビュー。以後、TVドラマや映画を中心に手掛ける。

主なドラマ
ナオミとカナコ(2016)
メゾン・ド・ポリス(2019)
ストロベリーナイト・サーガ(2019)
危険なビーナス(2020)

主な映画
幕が上がる(2015) 亜人(2017)
ブレイブ-群青戦記-(2021公開予定)